吉田智子『オープンソースの逆襲』出版文化社

オープンソースの逆襲

オープンソースの逆襲

Yabukiさんのところで紹介されていて知り、
その後のがたさんも紹介されているのをみて、
「これは読まねばならぬ!(くわっ!!←スタパ風)」と思い、ネット書店のユーズドとか、
生協の在庫とか調べてみたのですが、いずれも今ひとつだったので、
通学先の普通の本屋で買いました。珍しい。
#よろしくない消費者です。
で、2日ほどでダッシュ読みしてしまいました。
文体が堅苦しくなく、フォントも大きいので、あっという間でした。


内容としては、オープンソースの考え方を手っ取り早く知りたい場合にはいいんじゃないかなと思います。
歴史とかにそれほど詳しい記述はありませんが(これは本の性格上わざと少なくしているんだと思う。)。
詳しく知りたければWikipediaとかの記事を色々漁った方が良いかも…(吉田先生に怒られそうだが…)。


ただ、「初心者向け」ということでしたが、
それでもやっぱりコンピュータのことについて詳しくない人にとっては難しいことが沢山載っているように感じました。
巻末に索引を兼ねた簡単な用語集が付いているのですが、
この部分のボリュームが今ひとつのように感じました。
ここを充実させれば更に初心者の人に優しくなったかも…。
#詳しくはネットで検索すればわかることですが、
#それでも本という完結したコンテンツとして見た場合は、
#本体の中に含まれていた方が親切だと思います。


それから、時折著者の考え方の押しつけのようなものを感じる部分や、
原理主義的に受け取れるような記述もありました。
#これも強く主張せんがためにわざと採った態度かもしれませんが。


ある程度この世界に慣れていて、歴史的経緯も理解できている人間にとっては
空気のようにそこに普通にあるものとして受け取れるオープンソースの考え方ですが、
身近でない人にはやはり理解されにくい空気感であるのは、著者の吉田先生も仰っていることです。
そして、それを何とかこの本を通じて伝えようという努力が読んでいてすごく伝わってきます。
ただ、この辺はリテラシーの問題かもしれませんが、
どうしても活字・ペーパーメディアの「本」というものでは理解できない部分もあるんだろうなぁーという気がします。
だから、この本を読み終わっても、どうもよくわかったような、わからないような気がしてしまう人もいるのではないかと思います。
実際、僕も少し感じました。
僕はある程度わかっている側の人間ですから良いのですが、
この本で知ろうと思った人にとっては、
ちょっと物足りなさが残るような気がします。
それをどうやってフォローアップしていけばいいのか、と言うことについては、
今すぐには良い考えを持ち合わせていませんが、
何かしら考えていかないといけないのかもしれません。


「こういう考え方について来られない人なんて、放っておいて淘汰されちゃえばいいんだよ」と
過激なことを言ってしまうのは簡単ですが、
#実際それしかないのかもしれませんが…。
#最低限のリテラシーとかは自分自身で身に付けないといけないと思いますし…。
言い放ってしまう前にやるべきこともあるのではないか?
と、少し考えることも必要なのではないかと思いました。


なんか、モヒカン族とかムラ社会論、デジタルディバイドに通じる問題もどうしたって関係してくるなぁーと思いました。
深刻な問題ですよ、ホント。