上記のエントリーについて

僕は考古学を専攻しているのですが、
考古学では、毎年大量に(本当に大量に!)発行される報告書(年間約5000冊とも!)や、
発信される考古学情報をどのように処理していくかが現代的な課題となっています。


そこで、デジタル化の登場です。
現在、様々な形態や運用方法が検討されているのですが、
そこで立ちはだかるのが「保存」の問題です。


日本の考古学を支えている行政発掘は、
基本的に調査後に破壊されることを前提とした発掘が大半を占めています。
その為、その調査の記録は、遺跡の消滅と引き替えに手に入れた貴重な資料です。
ですから、その情報は遺跡がなくなってしまった以上、
遺跡の代わりとして残していかなければなりません。


ですが、現在のデジタル化は、この「長期の保存」という点に弱点がある、
というのが、デジタル化に懐疑的な人々の意見です。


最近そうした意見の、あるサイトで紹介されていたのが先程のエントリーで挙げた報告書。
まぁこれを見ると確かに難しい側面もあるなぁという気がします。


デジタル化は「保存」のための技術ではなくて、「利用」のための技術だ、
という言葉も聞きました。
活用・運用と保存というのは分けて考えないといけないのかもしれませんね。


といいつつも、僕自身はデジタル化推進派ですが。
まぁ確かに、何でもかんでもデジタル化すれば問題が解決するとは思っていませんが、
かといって、便利な部分からも目をそらすのは時代に逆行していると思います。
デジタル・ディバイドの問題もそこには横たわっていますけれど…。